在米くのいち 手当ての道をゆく

病気と共存しながら施術者を目指す日々の奮闘記。

世界の鍼灸の傾向

鍼灸は1979年にWHO(世界保健機関)により医療として認知されました。

この背景には中国鍼灸会の影響が大きいとも言われているようです。

 

現在世界で広がっている鍼灸は主に中国伝統医学です。

英語ではTraditional Chinese Medicine、略してTCMと呼ばれます。

TCMに対して昔ながらの中国古典医学を Classical Chinese Medicine と言います。

 

なぜ2種類の中国由来の医学が存在するのか。

TCMは中国政府が文化大革命時に再編成した現代版中国医学です。

時代の混乱で国内の古典医学の書物は紛失しており、また古来の学問に対する統制などもあり、新たに西洋医学と融合させながら完成されました。

私の理解では、古典医学と伝統医学では異なる部分が多くあるようです。

 

一方、日本に鍼灸が伝わったのは六世紀ごろ。

そのため、昔から日本の多くの鍼灸師は古典医学をもとに施術しているようです。

また、中国では紛失した古典医学の書物の写しも日本には残っているそうです。

鍼灸発祥の地である中国ではなく、日本に古典情報が残っているというのは興味深い話です。

 

私が合格した鍼灸学校の指導は古典医学をベースにしたカリキュラムとなっています。

それでも、昨今のTCMの影響は大きく、ここ数年カリキュラムが少しずつTCM寄りに変化してきている気がします。

(私が卒業するまで完全にTCM化しないでほしいなと密かに思っています。)

 

全米に鍼灸学校はわずか50校ほどしかありません。

その中で日本鍼灸や中国古典医学ベースのカリキュラムを有する学校はほとんどありません。

大半がTCM中心であり、これが世界における鍼灸の流れです。

 

でも、日本鍼灸は中国鍼と比べると細い鍼、刺入深さが比較的浅いなど、『あまり痛くない鍼』という特徴があるそうです。

現代人は痛みに弱い人が多いらしく、日本鍼灸は現代人に合っています。

まずは古典医学をベースに学習し、日本鍼灸も習得をしていけたらいいなと思っています。